昇圧回路を自作して、スイッチも実装するで!【実践編】
さてさて、以前昇圧回路とはなんぞや?というお話をさせていただきました。今回は実際に昇圧回路を自作してエフェクターに組み込んで行きます。昇圧回路とは一般的に供給される電圧である9Vを18Vなどに上げてエフェクターの性能を上げる回路のことです。
昇圧回路を作ってみた!自作エフェクターの醍醐味といえばこれ。【昇圧回路とはなんぞや編】
結構ずっと欲しかった機能だし、モディファイという感じがかなりいい・・・!
ということでさっそく自作ご紹介します!!!
昇圧回路を自作してエフェクターの音圧UP!
今回自作する昇圧回路の仕様をご紹介。
昇圧回路っていうのはエフェクターの内部に組み込んで9Vの電源を自動的に18Vに上げる機能を持った回路です。
ただ昇圧回路を作って音が良くなるだけじゃつまらない・・・・なので、今回は9Vと18Vで比較できるようにスイッチも増設することにします。ちなみに、僕の自作したJan Rayはこの仕様を用いています。
本気でvemuram jan ray を自作してみようと思う。本当に最高のオーバードライブを求めてみた。
これ以外にも、Seventh Heavenの自作でこのスイッチは実装しましたね。
goosoniqueworx Seventh Heaven 自作!これは・・・かなりいいディストーションの予感。
これ良いディストーションだからまた自作したいなぁ・・・
単純に、18Vと9Vで比較すると、18Vの方がやはり音に艶がしっかりと出る印象です。ただ、ほんの少しだけゲインが下がってしまう難点もあります。
歪みに関してはなんでも18Vなどに昇圧すれば音が良くなる!と思うのは少し違うかと思うので、自作するエフェクターなどに合うかを確かめてみましょう。
ちなみに市販でもXoticから9Vを18Vに変換できる電圧コンバータが販売されています。
初めて昇圧するという人は試してみてもいいかもしれませんね!
チャージポンプについて
それでは本題の昇圧回路を自作・・・・の前に!チャージポンプについて少しお話をします。
昇圧回路の自作にはチャージポンプという特殊なオペアンプを利用します。チャージポンプには下のような種類があります。
- MAX1044CPA
- TC1044SCPA
- LT1054CP
- TC7660CPA
- TC7662BCPA
この上記4つ以外にもチャージポンプの種類は沢山ありますが、ポピュラーなものはこいつらですね。すべて同じような使い方ができるとは思いますが、たしか7660の1ピンに9Vはつないじゃいけないという話もあったはず・・・ということで試していません。
使うときはMAX1044CPAかTC1044SCPAかLT1054CPをおすすめします。(この3つは実際に使ってみたので互換性は確認済みです。)
さてさて、ではこの3つの違いはというと、主に耐圧です。(もちろんその他数値にも多少違いはあります。)耐圧は下の表に示しています。
チャージポンプの種類 | 1・2間 |
MAX1044CPA | 10.5V |
TC1044SCPA | 13V |
LT1054CP | 18V |
こんな感じ。
一番使われているのはMAX1044CPAなんですがこれだと耐圧が10.5Vとなっており、安定化されていないアダプターだとオーバーしてしまう可能性があります。
なので僕はいつもTC1044SCPAを使っています。これなら13Vあるので安心!しかも価格もリーズナブルなので僕はよく愛用していますね。
昇圧回路自作のご紹介
レイアウトや材料等をご紹介
さて、早速レイアウトをご紹介していきます。
今回はCRAFTS MANさんのレイアウトを参考にさせていただきました。
出典:http://craftsman.gtfm.org/post-144/
これならスイッチで切り替えができますね。
書いていますが、材料についてももう一度記載しておきます。
- 電解コンデンサ 10μ 1つ
- 電解コンデンサ 100μ 2つ
- オペアンプ LT1054(TC1044でも可能) 1つ
- ダイオード 1N5817 2つ
- ダイオード 1N4001 1つ
- ダイオード SBM1045VSS 1つ
こんな感じ。コンデンサはまぁなにも言わなくても大丈夫そうですね。方向を間違えそうであればMUSEがおすすめ。
オペアンプは先ほども言ったチャージポンプの件ですね。壊さないようにICソケットにつけるようにしておきましょう。
ダイオードに関してですが、1N5817の2つをSBM1045VSSに変更することは可能そうです。こいつらはショットキーバリアダイオードなので、特にSBM1045VSSを1N4001なんかに変更するとしっかりと動作はしますが、電圧の切り替えが緩やかになってしまうと思います。
ちなみに1N4001は1N4007とかで代用可能ですよ!1N400~系はここではなんでも代用可能です。1つのエフェクターに1,2個はだいたい使われているので僕はいつも大量に購入しています。
材料に関してはこんな感じでしょうか。出来上がりは下の画像のようになります。
裏面はこのような感じ。
ちなみに補足しておくと、レイアウトのD4は下の画像のように白い線(カソード)が上となっていますので、注意しましょう。(原理をかんがえればわかるかもしれませんが・・)
・・・ちなみに僕は今回の昇圧回路中になぜか基板がまっぷたつになって絶望しました。笑
スイッチなし昇圧回路を自作したい場合
そうそう、僕はスイッチありの昇圧回路を自作しましたが、スイッチ無し(常に昇圧した状態でエフェクターを使う)の場合はもう少し簡単です。
レイアウトはhomemade FXさんのものを参考にしました。
材料は下記になります。
- オペアンプ MAX1044CPA(もちろん他のもので代用可能) 1つ
- 電解コンデンサ 10μ 2つ
- ダイオード 1N4007 3つ
ここではスイッチの切り替えがないのですべて整流用ダイオードの1N4007で大丈夫ですね。ざっくりとしたご紹介ですが、スイッチが必要ないという方はこちらでどうぞ!
まとめ
自作エフェクターに使える昇圧回路についてご紹介しました。
昇圧すると結構エフェクターのニュアンスが変わるので面白いです。特にダンブル系のエフェクターや、ディストーションなんかは違いが顕著に表れるのでぜひ試してください!
ちなみに、18Vに昇圧した時の注意点ですが、当たり前かもしれませんが基板上の部品の耐圧は18V以上でなくてはなりません。
コンデンサなどは安いものでは16Vの耐圧のものも多いので、しっかりと耐圧については考慮して自作を進めましょう。僕はいつも50Vのコンデンサを使っているので十分すぎますね。笑
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